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医療豆知識
 
炎症性腸疾患患者の食事について
食事で1日の必要量を摂取している患者さんの場合、体重の管理や腸への負担などを考えると、必要エネルギー量の1/3ずつを朝食・昼食・夕食の食で摂取することが理想的です。食事時間も一定の間隔で規則正しく食べることが望ましいです。

「炭水化物」
炭水化物は3大栄養素の1つと言われる重要な栄養素ですが、大きく分けると消化吸収される「糖質」と消化吸収されない「食物繊維」に分けられます。炎症性腸疾患の活動期には、消化の時間が長く、腸管が働き続けて安静が保てないことが治療の妨げとなる場合がありますので、体調の優れない時には糖質の摂取が最もおすすめです。

食物繊維は小腸で吸収されず、大腸に到達します。水溶性の食物繊維には、糖質やコレステロールを吸着することで吸収を抑える働きがあります。ペクチンやグアーガム、ラクトスクロースなどのオリゴ糖は腸管に与える刺激が少なく、水分吸収能、ゲル化、胆汁酸吸着能があるため下痢軽減効果をもたらします。不溶性の食物繊維は水に溶けず、腸内細菌によってもあまり分解されません。保水性が高く水分を吸着して膨化させることで糞便量を増加させ、腸管の運動を促します。

「たんぱく質」
たんぱく質は、筋肉などを構成する重要な栄養素です。肉や魚、大豆製品、卵、乳製品に多く含まれますが、大きく分けて「動物性たんぱく質」と「植物性たんぱく質」の2つがあります。口から入ったたんぱく質が未消化のまま小腸にたどり着くと、炎症性腸疾患の患者さんでは「食事抗原」が腸管壁で過剰な免疫反応を起こします。これが炎症の原因とされていますので、たんぱく質は毎食適切な量の摂取を心がけるといいでしょう。

潰瘍性大腸炎の患者さんの場合、活動期には食事に注意が必要ですが、寛解期では食物繊維の制限は推奨されていません。プロバイオティクス(乳酸菌など)とプレバイオティクス(オリゴ糖)で細菌環境を整えると、炎症が軽減し再発を防ぐことが示唆されています。

クローン病の患者さんの場合、急性増悪期では食事に注意が必要ですが、腸管の使用が可能と判断された時には水溶性食物繊維が多く含まれる食品や、オリゴ糖などを使用するといいでしょう。寛解期では、消化管狭窄がなければ厳格な制限は必要ありません。ただし、不溶性食物繊維が多く含まれる食品は狭窄部で腸閉塞をもたらす恐れがありますので、ミキサーにかけたり裏ごししたりするなどの工夫をするといいでしょう。消化管狭窄がある場合は、1回の食事量を少量にして、野菜や果物の種や皮を取り除いて摂取するといいでしょう。
 
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